2021年12月05日

Leibermuster ライバー迷彩についての覚え書き

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Leibermuster ライバー迷彩についての覚え書き

へー、Military harborさん、ライバー迷彩もわざわざ新しいパターンを作ったんだな。でも版ズレまで再現しちゃってんじゃん…おまけにコットン生地か…HBT生地じゃないの?
で、製品カテゴリーが「WWII German SS leibermuster camo M44 field tunic」になってる…ライバー迷彩は、アメリカ軍の"リチャードソン報告"で武装親衛隊新型迷彩と説明されていたんだっけか?それの影響なのかな?
Leibermuster ライバー迷彩についての覚え書き

そんなわけでライバー迷彩について、ざっくり覚え書き。
Leibermuster ライバー迷彩についての覚え書き

迷彩パターンの開発者はヨハン・ゲオルグ・シック教授。シック教授はこれまで武装親衛隊の各種迷彩パターンをデザインしています。ライバー迷彩は、武装親衛隊を含めた全軍共通での使用を目的として開発が進められました。既にドイツでは実用化されていた赤外線暗視装置にも対応すべく、黒い染料には炭素物質が混入されています。巧みに配置された迷彩の黒い箇所は赤外線を吸収し、夜間においても身体の輪郭をぼかすことが可能とされています。※戦後、アメリカが実証実験しています。
この特殊染料の開発を担当したのが、技術者であるヘルムート・ライバー氏。この迷彩パターンの名前の由来でもあります。
この特殊染料と生地への染色技術の特許出願が1942年5月5日とされています。迷彩生地を製造したのは繊維産業大手だったシュリーパー&バウム社です。
Leibermuster ライバー迷彩についての覚え書き

写真は大戦末期のプラハ蜂起(1945年5月)時に降伏したドイツ陸軍部隊(第100猟兵師団?)とも言われているようです。
トラックのフェンダーのステンシルは第1スキー猟兵師団とか。同師団は1945年5月にチェコで降伏しています。
Leibermuster ライバー迷彩についての覚え書き

チェコには大規模被服工廠があり、先行してライバー迷彩戦闘服が生産されていたと考えられます。
以前はライバー迷彩服を実際に着用している写真を見かけることはありませんでした。しかし、1992年頃から同迷彩服を着用した兵士の写真が発表され、また実物と思われる迷彩戦闘服各種も市場に現れるようになりました。
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しかし、現在のところ武装親衛隊が着用している写真は見つかっていないようです。※ラトビアのリガから撤退する武装親衛隊員が着用していて同地の博物館に所蔵されている、という記述もあります。

第2次世界大戦後のライバー迷彩
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1950年、西ドイツは再軍備化を開始するとともに、NATO(北大西洋条約機構)加盟への準備を始めていました。しかし、フランスは西ドイツのNATO加盟に反対しており、新たに欧州防衛共同体(EDC)構想を発案します。1952年、西ドイツもEDC加盟に調印しました。
EDC加盟国には、調達の集中化を目的とした武器や戦闘服の共通化が定められていました。西ドイツは特許所有者名を公表しない条件(恐らくは非ナチ化の影響?)付きでライバー迷彩を復活。
EDC加盟国共通迷彩服として開発を進めました。
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↑こちらはライバー1955迷彩と呼ばれるパターンです。同迷彩服の生産はEDC加盟を表明していたベルギーで20000着が生産予定でしたが、紆余曲折してEDCは頓挫。
ライバー55迷彩服の大量生産もキャンセルされました。
新編された西ドイツ軍では、試験的に製造された戦闘服が若干数は配備されたようではあります。
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↑チェコスロバキア軍"Duby"迷彩
1948年、かつてドイツにより占領統治されていたチェコスロバキアは社会主義共和国となりました。
チェコスロバキア人民軍が発足され、ドイツの資材も大量に流用されたようです。その中にはライバー迷彩生地も含まれていました。
当初は、ライバー迷彩をそのまま量産していましたが、やがて自国で色調を変更して1960年代まで採用しています。
赤外線暗視装置に対応する炭素入り染料に関しても継承されています。個人的には実物と称されているライバー迷彩服には、少なからずチェコ製のFakeが混ざっているんじゃないかな?と考えています…
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↑スイス軍Taz55/57迷彩
スイスはチェコスロバキアにあったドイツ製染色機械を購入し、ライバー迷彩をベースにした戦闘服を開発したようです。本来は版ズレしてしまった部分のホワイトを、あえてデザイン化したんでしょうか。スイスの残雪を思わせる独特のパターンです。

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しかし、一昔前はお金を払わないと見られなかった貴重な写真がタダで見られてしまう、とんでもない時代になりましたね。海外の言語も指でなぞれば日本語翻訳。
しかし、その分だけ自分でアレコレを考えなくなってきました…
物覚えも加速度的に悪くなってきたし。何とかしなくちゃ。

参考
https://heroesandgenerals.com/forums/topic/82692-full-leibermuster-ge-camouflage-rework/
https://de-m-wikipedia-org.translate.goog/wiki/Leibermuster?_x_tr_sl=de&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc
https://www.militaryharbor.com/ww2-german-German-Empire-Third-empire-ww1-german/German-Uniform/german-Camo-Uniform/German-SS-Camo-Tunics/WWII-German-SS-leibermuster-camo-M44-field-tunic
CAMOUFLAGE UNIFORMS OF THE Waffen-SS




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Posted by Контакт!! at 11:48│Comments(2)ナチョス!
この記事へのコメント
この時期のチェコは面白いですね。
スイスにヘッツァーを輸出したり、イスラエルにエンジンを乗せ換えたMe-109やライフルを闇輸出したのは存じておりましたが、迷彩柄プリント機までとは。
食うのに必至なのは確かですが、大したものです。
Posted by 引退した人 at 2021年12月06日 16:54
ロシア人が書いたサスペンス小説(題名失念)でも「チェコ人は見境なく武器を売りやがる」なんて科白がありました。F・フォーサイスの「戦争の犬たち」で傭兵が調達した武器もチェコ製が多かったような…
戦後も独力で重戦車(Vz.51)を開発したり、重工業でも先進国ですね。
Posted by Afghan1989Afghan1989 at 2021年12月07日 07:34
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